1998年にM16A2の後継機としてアメリカ陸軍に採用された
M4カービンは、現在ではアメリカ軍の殆どで使用されている程の
アサルトライフルになりましたが、多少の不満も出ていました。
その一つが劣悪な環境下での作動信頼性で、特に特殊部隊の
中には色々理由を付けて、M4以外の銃を使用する例も出てきた
事もあり、2001年頃にアメリカ陸軍はドイツのヘッケラー&コッホ社に
M4カービンの改修を依頼し、2005年に開発されたのがHK416です。
(本当はHKM4と言う名で一年前に開発されてましたけど)
弾を発射するとボルトが作動して薬莢を排出し、次弾を装てんする
自動小銃の殆どは、発砲時に発生するガスの圧力を利用しています。
M16やM4は、銃身から取り込んだガスをガスチューブを通して
直接ボルトキャリアに吹き付けて作動させる、リュングマン方式で
構造が単純化でき重心変動が少なく、銃を小型にし易いメリットの半面
機関部にガスを流し込むため、内部が汚れ易く作動不良が起きやすい
と言う欠点もありました。
なのでHK416では、ガスを機関部に引き込むのをやめ
ショートストロークピストン式に作動が変更されています。
これは取り出したガスでピストンを作動させ、その勢いでボルトを叩き
後退させる方式です。
まあ、M4のガスチューブの代わりにピストンを設置したイメージですね。

ウィキペディアより
なので機関部にガスが入り込む事も無く、信頼性は向上しましたが
ショートストロークピストン方式の構造上、レシーバートップと
ハンドガード上部の厚みがM4より増しています。
アメリカ陸軍のご要望通り、M4より高い信頼性のあるHK416を開発
したH&K社ですが、M4よりも高価になってしまいM4を総取り換えする
予算も無いため、結局の所特殊部隊向け程度の採用に止まるという
H&K社にとっては、「それは無いだろ!」的な残念な結果に
なってますが、制式採用する各国の軍隊も徐々に増えていて
民間向けモデルも人気が高くなっています。


S&T HK416D 10RS スポーツライン G3電子トリガー
可変ホップアップシステム
全長 700mm(伸長時780mm)
重量 2,300g
装弾数 340発(ゼンマイ給弾式多弾マガジン)
価格 23,650円 (税込)


今回はS&T製 HK416D 10RS スポーツライン
G3電子トリガー電動ガンです。
実銃でHK416Dの「D」が付くと、H&K社のアメリカの子会社
Heckler & Koch Defense USAが軍や法執行機関に
納めた物になります。
10RSは、10.4インチ銃身モデルの製品名です。
(HK416A5からは、銃身長による分類はありません)
なのでHeckler & Koch Defense USAが製造した10.4インチ
モデルのHK416を電動ガンでモデルアップした物になります。
スポーツラインとは、CYMAとかS&T等の海外製エアガンで
使われる言葉で、同じモデルでフルメタル製と樹脂製の
エアガンを作ったら、樹脂製の廉価モデルの方を
スポーツラインと呼んだり、単に大部分が樹脂製の
エアガンを指したりします。
(樹脂製で軽くて扱い易いからスポーツラインかな?)
G3電子トリガーは、セクターギアに磁石が内包され電子制御で
管理される、Generation3メカボックス電子トリガーです。

HK416のレシーバーは樹脂製ですが、ナイロンファイバー樹脂
なので、普通のプラスチックより剛性感があり実用的には
問題ないと思います。
ただ廉価モデルと言う目で見てしまうからか、質感は安っぽく
感じます。
表面にヒケがある部分もありますし。
何気に醸し出される、スポーツライン・オーラが私を襲います。
刻印はセレクター部分のみで、後はレーザー刻印なのかな?
(プリントかレーザー刻印かの判断が出来かねます)
セレクターの刻印は実銃通りのピクトグラムですし、他の
文字も実銃とほぼ変わらない正確さで雰囲気ありますが
色合いが悪く、見え難いです。
セレクターは残念ながらアンビ(両側仕様)では無く、左側のみで
右側はダミーで全く動きません。
セレクター操作は軽くてクリック感もあり、使い易いです。

フロントサイトは可倒式なので、ドットサイト等の光学サイトを
装着した時には、視野の邪魔にならず便利ですが
サイレンサーを装着すると、干渉して倒せないのは難ありです。
リアサイトはMP5等でよく見る、H&K社お得意のドラム式サイトで
近接戦闘用から遠射用まで、4種類のビープホールを
筒状のサイトを、くるくる回して適正な物を選びます。
ただリアサイト自体を、上下左右に動かして調節する事は
出来ませんし、フロントサイトも調節機能は無い様です。

ハンドガード部分のマウントレイルには、4面全てのレイルに
色入れこそ無いものの、レールガイドナンバーが
施されています。
このハンドガードは実銃と同様に、銃身と接触しない
フリーフローティング構造になってます。
ただし樹脂製の辛い所か、ハンドガード部分に力を入れて
捻ると、多少左右にグラグラして実銃でのガスブロック辺りと
接触します。
なのでハンドガード先端部分では、左右に結構動いてしまう
のですが、幸いにもフロントサイトはハンドガードではなく
銃身に取り付けてあるので、狙いのブレは少なそうです。
まあ、この部分がこの銃一番のウイークポイントですね。
なのでドットサイト等の光学サイトを装着する時は、ハンドガードの
トップレイルは避けて、レシーバーのトップレイルに
装着するのが無難です。
マウントレイル自体も樹脂製で頼り無い印象ですが
余程の事でなければ、大丈夫でしょう。
バレル先端のフラッシュハイダーは樹脂製のバードゲージ
タイプで、14mm逆ネジ仕様です。
ちゃんとイモネジで固定されてますが、ネジ山が削れないか
ちょっと心配。
フラッシュハイダーを外して、マルイ製ショート・プロサイレンサー
の装着を試みましたが、バレル側のネジ山が太いのか
3分の1程度しかネジが入りませんでした。
無理やりねじ込むのも気が引けるので、この状態のまま
撮影しましたが、頑張れば入ったかも知れません。
他のサイレンサーも試しましたが、同じ事でした。
ここのクオリティは、スポーツライン中でも低いですね。

グリップはHK416特有の、背面のラウンドが強い形状の物ですが
このグリップは、思いのほか長くて太いです。
グリップの根元が絞られているので、そんなに握り難い事は無い
ですが、ちょっと以外に大きいですね。
レシーバーエンドプレートには、金属製のCQDタイプ・スリング
マウントが装備されているので、スリング(負い紐)を装着出来ます。
ストックは6ポジションの一般的なクレーンタイプですが
バットプレートのラバーは、深い横溝の滑り止めになってるので
多少はHK416オリジナルのストックに寄せてるのかな?
(形状は全然違いますが・・・)
ネットショップを見ていると、同じS&T製HK416でもクレーンタイプと
HK416オリジナルタイプのストックが有るようです。

バッテリーはバットプレートを外して装着しますが、
クレーンタイプ・ストックなので、セパレートタイプの8.4V
ニッケル水素バッテリーか7.4Vリポバッテリーを左右の穴に
挿入するか、スティックタイプのバッテリーを
真ん中のストックチューブに挿入します。

マガジンはスチール製のゼンマイ給弾式多弾マガジンで
装弾数は340発。
H&K仕様のレーザー刻印(プリント?)が施されていますが
実銃でも従来のM4系より作動性を向上させた改良型
スチール製マガジンが採用されているので
リアルと言えば、リアル。
(現在では、樹脂製マガジンもラインナップされています)
マガジンサイズは絶妙にピッタリで、銃から抜く時は
リリースボタンを押すと、自然落下します。
マガジンを挿す時は、ピッタリ過ぎて最後の一押しを
強めにしないと、若干マガジンキャッチに掛かり難いかな。
なのでマガジンをグイグイっと最後に一押しするか
若干叩きこむ感じで勢いよく挿入すれば、気持ち良く
マガジンが装着出来ます。
他のスタンダードM4系電動ガン用マガジンを試した所
射撃に問題はありませんでしたが、装着が窮屈な物も
有ったので、中にはサイズが合わずに装着出来ない物も
ありそうです。
S&T製マガジン以外を購入する際は、注意が必要ですね。

ダミーボルトのカバーにもHKマークが入っている拘りよう。
チャージングハンドルを引くとダミーボルトカバーが開き
同軸ドラム式のホップアップ調節ダイアルが見えます。
ダミーボルトカバーのホールドオープン機能は無いので
チャージングハンドルを引いた状態で、ダイアルを回します。
実射
トリガーストロークは適度な感じで良いのですが、トリガーを
引き切った時の感触がモッサリしてます。
作動音も賑やかで、特にピストンが戻った時のバチンバチンと
言う音が煩く耳障りで、品が無いです。
フルオート時のサイクルスピードも、7.4Vリポバッテリー使用時で
秒間12発程度と、マルイ製に比べるとやや遅い位の作動なので
セミオート時のキレも、それなりです。
しかし、わざと素早くトリガー操作を繰り返しても全くセミロックしない
のは流石電子トリガーと言えましょう。
弾道は初速も有るし元気よく真っ直ぐ飛んでくれます。
距離12mの集弾性も、少し安定感に欠ける時もありますが
悪くは無いですね。
ハンドガードがグラグラするのが命中精度にどれ位
影響するのかは、分かりかねますが丁寧に扱えば
それ程の事は無いと思います。
なのでサバゲーに興味あるけど、あまり投資したくない方には
安くて実射性能も程好いS&T製HK416は、丁度良いかも
しれませんね。
電子トリガー搭載で格安ですし、輸入代理店UFCの保証も
付いてますし。

距離 12m 半径2cm刻みの円 0.25gBB弾
セミオート10発
S&T HK416 | 26.4℃ 46% |
0.20gBB弾 平均初速 | 88.5m/s |
1発目 | 88.5m/s |
2発目 | 89.4m/s |
3発目 | 88.4m/s |
4発目 | 87.9m/s |
5発目 | 88.5m/s |
S&T HK416 | 26.4℃ 46% |
0.25gBB弾 平均初速 | 75.5m/s |
1発目 | 74.5m/s |
2発目 | 76.2m/s |
3発目 | 75.9m/s |
4発目 | 75.9m/s |
5発目 | 75.2m/s |

フルオートの発射サイクルは、7.4Vリポバッテリーで
秒間12発程度
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